トランプ大統領・アメリカ大統領選

トランプが親露・親日・親英の外交スタンスを取るのは、対中警戒のため

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トランプの周囲には、ドラゴンスレイヤー(対中強硬派)が集まっている

トランプ大統領は、近年慣例となっていた、中国の春節旧正月)の祝賀メッセージを送りませんでした。

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1月28日の電話会談では、プーチンとの対談、オーストラリアのターンブル首相との対談が話題に上っています。

 

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しかし、この5カ国に、中華人民共和国習近平国家主席が選ばれていないことは、あまり触れられていません。

 

(米中もしたたかわば、や、Death by Chinaを書いたピーターナヴァロを国家通商会議代表にしている時点で明らかかもしれませんが・・・)

米中もし戦わば

Death by China: Confronting the Dragon – A Global Call to Action

 

トランプの外交政策は、反中であって、親露でも親日でも親独でもない

トランプは、大統領選後最初の会談相手に日本の安倍晋三を選びました。

gendai.ismedia.jp

 

さらに、電話会談にて、唯一公表された外交情報は、安倍首相と2月10日に対談をする、という内容でした。

これは、2月10日にホワイトハウスで対談を行い、翌日の2月11日も大統領専用機「エアフォースワン」に同乗してフロリダにあるトランプ大統領の別荘に行き、ゴルフをするということが報じられています。

 

そして、2月3日には、訪日中のジェームズマティス国防長官と安倍首相は会談をしました。

マティス米国国防長官による安倍総理大臣表敬 | 外務省

本3日午後5時35分から約50分間,安倍晋三内閣総理大臣は,訪日中のジェームズ・マティス米国国防長官(The Honorable James Mattis, Secretary of Defense of the United States of America)の表敬を受けたところ,概要は以下のとおりです。

1 冒頭,安倍総理大臣から,トランプ新政権の発足,国防長官就任に祝意を表した上で,マティス長官が就任後,最初の訪問国の一つとして日本を選んだことを日米同盟重視の現れとして高く評価する,トランプ政権との間で,揺るぎない日米同盟を更に確固たるものにしたい旨述べました。

2 これに対し,マティス長官から,米国は日本とともにあることを示していく,北朝鮮など共通の課題に対処するにあたり,日米安全保障条約第5条が重要であることを明確にしたい,と述べました。 

3 双方は,地域の諸課題や日米同盟強化の取組について意見交換を行い,地域の平和と安定のため,日米が一層連携して取り組むことで一致しました。

(1)マティス長官から,日米安全保障条約に基づく対日防衛義務及び同盟国への拡大抑止提供を含め,米国の同盟上のコミットメントを再確認する発言がありました。安倍総理大臣から,地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中,日本は防衛力を強化し,自らが果たし得る役割の拡大を図っていく方針である旨発言しました。双方は,日米同盟関係の一層の強化に向け,共に取組を進めることで一致しました。

(2)北朝鮮をめぐる問題に関し,双方は,北朝鮮の核・ミサイル開発は断じて容認できず,日米,日米韓の安全保障協力により,抑止力・対処力を高めていくことが重要であるとの認識で一致しました。安倍総理大臣から拉致問題を提起し,マティス長官の理解を得ました。双方は,拉致問題を含め北朝鮮に関する諸問題への対処のため,緊密に連携することで一致しました。

(3)双方は,東シナ海南シナ海の情勢についての懸念を共有しました。マティス長官から,尖閣諸島は日本の施政の下にある領域であり,日米安全保障条約第5条の適用範囲である,米国は,尖閣諸島に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対する旨表明しました。

(4)安倍総理大臣から,沖縄の負担軽減のため取組を進める旨述べ,双方は,在日米軍の安定的駐留の確保のために協力していくことで一致しました。また,普天間飛行場辺野古移設が唯一の解決策であることを確認しました。安倍総理からは,安倍政権として辺野古移設の早期実現に完全にコミットしており,着実に取組を進める旨強調しました。

この姿勢からも、日米同盟を強化しようという姿勢が見て取れます。

さらに、前日には韓国にも訪問していることから、日韓にある米軍基地と、日韓の連携を強めることにより、中国が太平洋に進出し、アメリカの危機とならないよう、体制を整えようとしているものと考えられます。

 

アメリカとイギリスの関係(米英関係)とNATOの意味するところ

トランプ大統領就任後の最初の会談相手はイギリスのテリーザメイ首相でした。

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ここでは、NATOについての合意が大きく取り上げられています。

そして、メイ首相はEU離脱後の動きについて、話を進めています。

 

NATOは、ソ連との冷戦時代に西欧諸国がワルシャワ条約機構に対抗する形で組織された軍事同盟です。

各国がGDPの2%の軍事予算をつけることにより、ワルシャワ条約機構との軍事バランスをとり、戦争が起こらない、起こったとしても対抗できるようにするものでした。

オバマ大統領は、NATOに対し、GDPの2%以上の軍備を整えることを要求しています。

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さらに、トランプ大統領も、イギリスのメイ首相との会談時に、NATOの支持と、GDP2%要求を踏襲し、確認しています。

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NATOはヨーロッパに「アメリカを引き込み、ロシアを締め出し、ドイツを抑え込む」ために組織されました。

そして、イギリスは「Brexit」、EUから離脱することになりました。 EUはドイツが中心となっています。

つまり、アメリカとイギリスがNATOについての合意をする、ということは、ドイツ・ロシアへの対抗という意味合いもあるのかもしれません。

 

しかし、アメリカのトランプ大統領は、ロシアのプーチンと融和的な関係を築いている、と言われています。

「プーチン、トランプ勝利を狙いサイバー攻撃指示」米政府関係者 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

 

ロシアと融和するのに、ロシアに対抗するためのNATOを強化する、というのはおかしな話ではないでしょうか?

 

アメリカを中心として、ロシア、ドイツ、チャイナとのバランスをとる

この話を理解するには、地政学のバランスオブパワーの概念が重要です。

バランスオブパワーとは、イギリスで戦略学博士をとった奥山真司さんが、解説しています。

geopoli.exblog.jp

通常でバランスオブパワーと言った場合、これは全体的に力が均衡しているために安定している状態ができている、という意味が多いわけです。これがスタンダードな「均衡による安定」ですね。

 

日米同盟の強化は対中、日英関係の強化は対露のバランスをとることが 目的ではないかと考えられます。

そのバランスをとることにより、
・ロシアがヨーロッパの権益を拡大すること
・中国がアジアの権益を拡大すること
それによって、アメリカへの脅威となることを防止している、ということです。

 

そして、現在最もアメリカの脅威となっているのは中国です。

GDP、軍事費共に急拡大をし、現在はGDP世界2位の大国となっています。

 

そのため、中国と手を組んでロシアを抑え込むのではなく、ロシアと手を組んで中国を抑え込むことを選んだのだと考えられます。

また、中露は国境を接しているため、対米・対欧で足並みを揃える動きはしますが、決して「仲良し」というわけではありません。

昔から、国際政治では「敵の敵は味方」というシンプルな仕組みで枠組みが決まっていました。

例えば、第二次世界大戦の時には「ドイツ・イタリア・日本」の敵だったので「アメリカ・イギリス・ソ連」がまとまった、ということになります。

アメリカとイギリスはまだしも、ソ連共産主義であり、自由主義陣営とは本来対立している存在でした。それでも、敵としての度合いが、日独伊の方がより高かった、ということで手を組むことになったのでした。

それが今は、米露と中国、という構図になりつつある、ということです。

 

まとめ

米中関係は非常に重要なポイントですが、動きがないせいか、なかなか報道されません。しかし、動きがない、ということの意味合いを考え、日本としてのスタンスをとって行くべきですね。

 

<トランプ政権と今後の米中関係、日米関係を考えるために>

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 <トランプ政権の背景を知るのにオススメ>

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