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ホリエモンのロケット離陸成功報道を比較してみたら、メディアの違いが現れた

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7月30日に、日本初の私企業によるロケット発射実験が行われ離陸に成功

ロケットエンジンというと、半沢直樹で同じみ池井戸潤さんの「下町ロケット」でも話題になった、超高度技術の結晶です。

しかし、人工衛星の活用など、ロケットを安価に発射できるようにすることで、より技術やビジネスを発展させたい、というニーズの大きな領域でもあります。

ホリエモン(堀江貴文)の出資するインターステラテクノロジー(Inter stella technology)が、日本の民間企業として初の、ロケット発射実験を行いました。

ロケットは発射に成功したものの、通信装置の不具合により、20kmほど上昇したところで実験は中止。100kmという目標には届かない結果となりました。

部分的成功は十分大きな成果

技術者の観点から言えば、エンジンの着火に成功し、離陸ができた。

これがまず大きな成果な訳です。

さらに通信の不具合を検出し、安全装置が働いて、海に不時着させることに成功した。

これも成果な訳です。

ボトルネックになったのは通信の安定性で、ここを解消できれば次はもしかすると100kmに行けるかもしれない。

あるいは、成功した部分の中にもデータを解析することでより改善をするヒントがあるかもしれない。

そのように考えて、次の成功に向けて準備を始める、というのが技術関係者の姿じゃないかと思います。

日本の私企業が初めてロケット発射実験を行って、それが一部分とは言え成功した。

これは喜ばしいことじゃないかと思いますが、報道はどうやら違うようです。

それはニュースのタイトルに如実に表れています。

ホリエモンといえば、古い話ですが、ニッポン放送買収騒動があり、テレビ局などのメディアからは敵対視されている存在なのでしょうか?タレントとして、テレビにもしばしば出ているような気はしますが・・・

ニュース記事のタイトルは、そのニュースをどう伝えたいか、という配信元の意志を示す

当然ブログなどの記事を目にする中で、タイトルというのは重要な位置を占めます。

検索ユーザーに対して、何を提示したいか、あるいはどのようなユーザーに記事を読んで欲しいか、というところで、ライター陣は頭を悩ませるはずでしょう。

大手新聞のニュースメディアは様々な方式でニュース配信をしています。そのため、タイトルだけを見ている人たち、というのも多いはずで、より一層タイトル付けというのは重要度が高い。そのニュースをどのように印象付けるか、というのはタイトルにかかっています。

そのような観点から日米露のメディアを比較して見ると、科学技術の発展に対するスタンスの違い、というのが如実に感じ取れます。

米露のメディアは部分的成功(partial success)、実験中断(abort)などの文字が並ぶか、希望的側面にフォーカス

ロシアSPUTNIK「日本初の民間宇宙ロケットは次回年末に発射する」

sputniknews.com

米ブルームバーグ:日本はSpaceXに合流すべく最初のロケットを発射した

www.bloomberg.com

日経、朝日などは、「失敗(fail)」にフォーカス

日経「宇宙ロケット打ち上げ失敗 エンジン緊急停止 」

宇宙ロケット、打ち上げ失敗 エンジン緊急停止 :日本経済新聞

一応、翌朝公開された日経英語版はちょっと改善されている

asia.nikkei.com

「初の民間ロケットは失敗したけど次の打ち上げが期待されるよ」

朝日新聞「ホリエモンロケット 宇宙空間到達せず、エンジン緊急停止」

www.asahi.com

the Japan times:

www.japantimes.co.jp

こんな記事のタイトルでも良かったのでは・・・?

例えば、
「初の民間ロケット、離陸に成功!しかし通信断絶で、宇宙到達ならず」とか
「ホリエモンロケット、エンジン開発と姿勢制御に成功も、宇宙到達は次回に期待」とか、

なんかもっといいタイトル付けはできなかったんですかね?

ちなみに、ロケット技術で最も難しいのは、エンジン開発と、姿勢制御だそうです。

難所は今の所クリアしている、というのも良いニュースなはずです。(もしかすると高度を上げたときに問題がまだ出てくる可能性もありますが。)

なので、日本のメディアはもっと明るい話として報じたって良かったはずなんですよね。

テクニカルライター秋山文野さんの記事はすごくわかりやすい

 

www.businessinsider.jp

www.businessinsider.jp

ISTによると、年内に2号機の試験を行う希望もあるという。ISTが今回得た知見をどのように活かしてスピード感ある開発を進めていくのか注目だ。

日本語メディアの中で調べた限り唯一テクニカルライターの手による記事が、ビジネスインサイダーの上記記事。

今回のロケット発射実験について、現地での取材と、丁寧な解説がされています。

私としては、引用した、締めの言葉にも他メディアとの違いを感じました。

ライターの秋山さんははやぶさの解説本を書くなど、専門性の高いライターとして有名です。

秋山文野:IT実用書から宇宙開発までカバーする編集者/ライター。各国宇宙機関のレポートを読み込むことが日課。著書に電子書籍『「はやぶさ」7年60億kmのミッション完全解説』、書籍『図解ビジネス情報源 入門から業界動向までひと目でわかる 宇宙ビジネス』(共著)など。

まとめ:ブログ以上に、ニュース記事のタイトルは意志があらわれる

ブログタイトルが検索流入をターゲティングするのにたいし、
大手新聞メディアの電子版はタイトルだけ見られることも多くあり、
タイトルの重要性は一層高いです。

となると、タイトルのつけ方一つでニュースへの印象が大きく変わってきます。

ということは、どう印象付けたいか、という意志が入ってきていてもなんらおかしくありません。

そんなところも注意してニュースを見たいですね。

さて、インターステラのロケットはきっと次回宇宙に到達してくれるでしょう。

年末が楽しみですね!

*おしまい*