日本企業は、アメリカの雇用に かなり貢献している
ドナルド・トランプ大統領は日本企業(というかトヨタ)がメキシコに工場を作るとアメリカの雇用を奪う、として大攻撃をしました。
それに対し、トヨタは13.7万人の雇用をすでに生み出している、また、経団連の会長は170万人の雇用を日系企業が生み出していると発言しています。
トヨタ幹部も「アメリカの経済と雇用に貢献していることを訴えて理解してもらうしかない」
「トヨタの世界最大の工場はアメリカにあり、開発や生産、販売に携わる人は全米で13万6000人に上る」
経団連の榊原会長は「日本企業はアメリカに対して累積で50兆円近い直接投資を行い、170万人の雇用を創出しているが、こうしたアメリカ経済への貢献がトランプ氏に十分理解されていない」と述べ、官民挙げて理解を求めていく考えを示しました。
ちなみに、2012年時点のデータですが、日本企業はその当時全米で、71.9万人の雇用を創出しています。榊原会長の言葉を信じるのであれば、この5年足らずで、100万人近い雇用を生み出していることになります。
http://www5.jetro.go.jp/newsletter/anp/2014/7515.pdf
在米日系企業による州別の雇用創出数 (2012年) (単位:万人)
州 雇用数
全米 71.89
カリフォルニア 11.08
オハイオ 5.31
インディアナ 4.15イリノイ 3.91
テキサス 3.82
テネシー 3.40
ニューヨーク 3.35
ケンタッキー 3.33
ジョージア 2.68
ミシガン 2.48
ニュージャージー 2.37
ペンシルベニア 2.31
フロリダ 2.18
ノースカロライナ 1.98
ハワイ 1.49
アラバマ 1.48
マサチューセッツ 1.45
サウスカロライナ 1.45
バージニア 1.39
ワシントン 1.34〔注1〕1万人以上の州のみ
〔注2〕株式の過半数所有子会社を対象とする
ちなみに、太字は、スイングステートです。
スイングステートの選挙人数を加えたのが下の数です。
また、2015年度 米国・カナダ進出日系企業実態調査の結果から、日本企業が今後期待を集めている州のトップ10に入っているのがオハイオ、ミシガンの2つで、関心を持っている日本企業の数です。
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/48472b30609aa616/20150174_shiryou.pdf
フロリダ 2.18万 (29人)
ペンシルベニア 2.31万 (20人)
オハイオ 5.31万 (18人) :65社(5位)
ミシガン 2.48万 (16人) :53社(7位)
ノースカロライナ 1.98万 (15人)
バージニア 1.39万 (13人)
つまり、ドナルド・トランプ大統領も共和党も、安定して選挙に勝つために、日本企業の協力を得るべきであって、敵対するべきではないのです。
麻生、ペンスラインでこのような状況の共有がきちんとなされると良いのですが。
【2月19日配信】江崎道朗のネットブリーフィング「米国で製造業の雇用者を最も創出している国は日本!」小野義典【チャンネルくらら】
ここで紹介されている記事は
みずほ銀行のレポートとは以下のことです。
https://www.mizuho-fg.co.jp/company/activity/onethinktank/pdf/vol007.pdf
ドナルド・トランプ大統領が日本企業をいじめると以下の3つの理由で雇用がなくなる
1.日本企業がドナルド・トランプ大統領に協力せず、民主党の州や海外で工場を作る
2.スイングステートで選挙に負けるため、アメリカ製造業からまた仕事がなくなる
3.ドナルド・トランプ大統領の反動で民主党が移民をたくさん受け入れるので、ドナルド・トランプ大統領支持層の雇用がなくなる方向に進む
さらに、ドナルド・トランプ大統領も共和党も大敗するでしょうね。
大きな期待をして、製造業の固まっているスイングステートが共和党・トランプを支持しました。
さらに、ドナルド・トランプ大統領はスイングステートでの演説で、アメリカ製造業の復活をうたっていましたので、それを裏切ったら大変です。
いずれにせよ、ドナルド・トランプ大統領の言葉に日本企業・経団連が左右されています。
しかも、実態を把握してなさそうな、ですね。
幸い、安倍政権は長期政権で安定しています。
麻生財務大臣も首相経験者でかつ、2012年から財務大臣をやっている実績もあります。
逆に日本がドナルド・トランプ大統領とうまく交渉するためには、これだけ大きな力を持っている、日本企業の力をうまく活用するべきでしょう。
アメリカで工場を建てる、と言っても、どこに建てるかでドナルド・トランプ大統領の顔を立てることも潰すこともできます。
今の所、安倍首相はトランプ大統領の顔を丁寧に立てています。
いかに世界最強のアメリカをうまくコントロールして、日本の利益にできるかが重要でしょう。そのためには、使えるデータや手段をきちんと使いこなすことが重要です。
アメリカに動かされるのではなく、動く側に回るためには、賢い立ち回りが重要です。
そうなるためにはきちんと勉強しないといけませんね。
安倍政権がトランプ大統領とどのようなやり取りをしていたかが政治部のジャーナリストで安倍総理や麻生副総理のメッセンジャーもするような山口敬之氏により生々しく語られています。