トランプ大統領・アメリカ大統領選

ドナルド・トランプ大統領、安倍晋三首相の会談と友好関係の強化は経済的にも安全保障的にも大成功

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

安倍首相はトランプ大統領との会談前に、アーリントン国立墓地へ献花をした

f:id:kamotak:20170214004657j:plain

出典:外務省HP


安倍首相、米アーリントン国立墓地で献花 Japanese Prime Minister arrives at Arlington cemetery

アーリントン墓地は、1864年に南北戦争の戦没者のための墓地として設立され、第一次世界大戦、第二次世界大戦、ベトナム戦争の戦没者をはじめとした、アメリカ合衆国のために命を尽くした人たちが祀られています。

つまり、日本における靖国神社と一緒です。

靖国神社にも、
「我國の為をつくせる人々の名もむさし野にとむる玉かき」
の和歌に象徴されるように、明治維新、戊辰の役、西南の役、日清・日露戦争、支那事変、大東亜戦争(太平洋戦争)など、国を守るために、命を尽くした人たちが祀られています。

分割されてしまっている朝鮮半島や、国内にロシアとウクライナでアイデンティティの相反があるウクライナ、ソ連の蹂躙から復興し切らないラトビアなどと比べると、統合された日本であり続けられている日本は幸せではないかと思いますし、命を賭けて戦った先人には敬意を表して、表しすぎることもありません。

私が靖国神社に行くようになったのは数年前ですが、きっかけはロンドンへ旅行したことでした。たまたま、ロンドンへ行くと、赤い花を胸につけている人がたくさんいました。

そのうち一人にどういう意味かを尋ねると、第一次世界大戦で国のために戦った人の慰霊のためだ、ということを教えてくれました。きっと、君の国にもあると思うよ、という白髪のお爺さんは、非常に穏やかな目をしていたのが印象的でした。

これらの人々の犠牲の上に、現在の発展がある、ということを噛み締めつつ、訪問先の米国への敬意を表するのに、ふさわしい場所でしょう。ぜひ、トランプ大統領も靖国へ参拝してもらいたいものです。

トランプ大統領と安倍首相のゴルフは、日米首脳として60年ぶりのもの

The Economistによると、前回の日米首脳によるゴルフは、1957年アイゼンハワー大統領と、岸信介首相によるものだそうです。

安倍首相の祖父と考えると、非常に縁の深さを感じますね。

ゴルフをする、ということは、周りに聞かれずに腹を割って話す、ということです。

当然その内容は、公式な会見以外ではそうそう出てこないでしょう。

ゴルフの際に話していた内容を公表すべき、という社説を日経新聞が出していましたが、そんなことをしようもんなら、信頼関係台無しで、今後深い話ができなくなります。

日経新聞2/12社説

日米は新経済対話を冷静に進めよ :日本経済新聞

避けなければならないのは、通商と安保を取引することだ。両国民に疑念を抱かれるような不透明な取引は結局、うまくいかないものだ。取引好きなトランプ氏とゴルフ場で何を話したのか。安倍首相は隠さず明らかにすべきだ。

通商と安保の取引、というと、日米繊維交渉を彷彿とさせますが、例えば、米軍への予算を増やすだけで拉致被害者が取り返せるのであれば、取引をしても良いのではないかと思います。

日本はずっと拉致被害者を見捨ててきているのですから。

今回のゴルフ・対談について、元財務官僚の高橋洋一さんは以下のように述べています。

gendai.ismedia.jp

トランプ政権は、
金融緩和を継続しGDPを増やし、
同時に安倍政権に頼み日本企業の対米投資増を促し、
それで供給力増でインフレを押さえつつ、
同時に個別具体的な雇用増を狙う
のが、合理的な戦略になるだろう。

これが、安倍首相が今回の日米首脳会談で異例ともいえる厚遇した理由の一つであると思っている。もちろん、トランプ大統領が公言しているように、安倍首相とはウマがあうのが最大の理由であろうが、それに加えて、トランプ政権の冷静な損得計算も背後にあるのだろう。

今後の経済関係では、不安はなしとはいえないが、日米関係は上々のスタートである。安倍首相はトランプ大統領と、ハグを繰り返し、また長い握手をするなど、他国首脳も真似できない親密な関係を築いたといえる。食事とは違い、好かない相手とゴルフはしないものだ

そもそも、まだトランプ政権は閣僚も固まっていない状態です。なので、政策レベルの具体的な話をする体制が、根本的には整っていません。

なので、麻生・ペンスラインなど、協力関係を進める基礎を作れたことは収穫かと思います。

トランプの安倍厚遇・習近平冷遇、オバマの習近平厚遇・安倍冷遇の対比

オバマ大統領の時代と比較してみると、明らかな違いはチャイナ(中国)との扱いの違いです。

今回、トランプ大統領が習近平国家主席と電話会談をしたのが2月9日です。

ちなみにチャイナメディアの星島日報では、トランプが習近平に屈服した、としているそうです。

トランプ大統領が習近平主席に屈服、一つの中国原則受け入れ… – Record China

対して、Wall Street Journalは社説「アジア外交で勝利するトランプ氏」の中で、1つの中国論に対するスタンスを「確認」しただけで、台湾独立を認める以外の支援は続行する、ということを述べています。

jp.wsj.com

ロシアからの国際分析や、情報ピラミッドなどの観点を広く知らしめた、国際関係アナリストの北野幸伯さんも、今回の対談は、日本重視を確認し、安全保障、経済の面でも成功だったと言っています。

diamond.jp

特に引き合いに出されたのは、2013年2月のオバマ、安倍会談が1時間45分のホワイトハウス執務室での冷遇だったこと、2013年6月のオバマ、習近平会談が、1泊2日8時間の厚遇だったことが挙げられます。

オバマ・安倍会談

toyokeizai.net

外務省:日米首脳会談(概要)

オバマ・習近平会談

j.people.com.cn

business.nikkeibp.co.jp

この時習近平が興奮していたように、アメリカ大統領とホワイトハウス以外の場所で友好関係を築ける、ということは、国のトップとして自国に権益をもたらし、自分の影響力を向上させるためには非常に望ましいことなのでしょう。

これは、国際的なポジショニングにも効いてきそうです。

では、トランプ・安倍会談は?

さて、この時とはうって変わって、今回は安倍首相・トランプ大統領は2日間、5回の食事、2箇所のゴルフ、トランプ氏の別荘と、プライベートづくしでした。

友好関係という意味においては、他国よりもはるか先を行っています。

チャイナと比較した場合には、さらに重大な差があります。

安倍首相は、トランプ大統領と2度目の会談です。1度目は、大統領選直後でした。

さらに、電話会談も1月28日にしています。この電話会談の相手に選ばれたのは、ロシア、ドイツ、フランス、オーストラリア、日本の5カ国です。チャイナは選ばれませんでした。

どう考えても、チャイナと比べたら、日本は前向きな議論を行なっているでしょう。

狙いすましたかのような、安倍会談前日の習近平との電話

習近平との電話会談が2月9日というのも、狙いすましたかのようです。

日米会談の様子はまだ行なっていないので話せるわけもなく、チャイナに日米間の秘密が漏れる心配がありません。対して、米中間の話は、安倍首相・トランプ大統領のプライベートな時間に情報交換が可能です。

安倍首相・トランプ大統領による、日米共同声明

さて、外務省が日米共同会談の全文を出しています

http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000227766.pdf

要点を引用し、補足すると以下の通りです。

本日、安倍晋三首相とドナルド・J・トランプ大統領は、ワシントンで最初の首脳会談を行い、日米同盟及び経済関係を一層強化するための強い決意を確認した。

*日米同盟

揺らぐことのない日米同盟はアジア太平洋地域における平和、繁栄及び自由の礎である。核及び通常戦力の双方によるあらゆる種類の米国の軍事力を使った日本の防衛に対する米国のコミットメント(関与)は揺るぎない。

両首脳は、日米両国がキャンプ・シュワブ辺野古崎地区(沖縄県名護市)及びこれに隣接する水域に普天間飛行場(同県宜野湾市)の代替施設を建設する計画にコミット(関与)していることを確認した。これは、普天間飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策である。

両首脳は、日米安全保障条約第5条が(沖縄県の)尖閣諸島に適用されることを確認した。

核兵器を使ってでも日本を守る(ことになっている。実際やるかは別問題。言うこと、敵に思い込ませることが大事)。

普天間を辺野古に移設する。(活動家が邪魔してますが。都合が悪いのはチャイナでしょう。)

また、尖閣は日本固有の領土なので、日米安保条約の適用範囲内。(チャイナの主張は聞きません)

*日米経済関係

 日本及び米国は、世界のGDP(国内総生産)の30%を占め、力強い世界経済の維持、金融の安定性の確保及び雇用機会の増大という利益を共有する。これらの利益を促進するために、首相及び大統領は、国内及び世界の経済需要を強化するために相互補完的な財政、金融及び構造政策という3本の矢のアプローチを用いていくとのコミットメントを再確認した。

日米は相互に協力して利益を共有する。

国内および世界の経済需要を強化するために相互補完的な、財政・金融・構造政策の3本の矢

=>つまり、アベノミクスに習うということ。

両首脳は、おのおのの経済が直面する機会及び課題、また、両国、アジア太平洋地域及び世界における包摂的成長及び繁栄を促進する必要性について議論した。両首脳は、自由で公正な貿易のルールに基づいて、日米両国間及び地域における経済関係を強化することに引き続き完全にコミットしていることを強調した。これは、アジア太平洋地域における、貿易及び投資に関する高い基準の設定、市場障壁の削減、また、経済及び雇用の成長の機会の拡大を含むものである。

日本及び米国は、両国間の貿易・投資関係双方の深化と、アジア太平洋地域における貿易、経済成長及び高い基準の促進に向けた両国の継続的努力の重要性を再確認した。この目的のため、また、米国が環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱した点に留意し、両首脳は、これらの共有された目的を達成するための最善の方法を探求することを誓約した。これには、日米間で2国間の枠組みに関して議論を行うこと、また、日本が既存のイニシアチブを基礎として地域レベルの進展を引き続き推進することを含む。

 さらに、両首脳は、日本及び米国の相互の経済的利益を促進する様々な分野にわたる協力を探求していくことにつき関心を表明した。

 両首脳は、上記及びその他の課題を議論するための経済対話に両国が従事することを決定した。また、両首脳は、地域及び国際場裏における協力を継続する意図も再確認した。

TPPと日米FTAは別途議論する。

TPPは日本が主導し、枠組みを作る。日本がアジア、太平洋地域の進展を推進する。

*訪日の招待

 安倍首相はトランプ大統領に対して本年中に日本を公式訪問するよう招待し、また、ペンス副大統領の早期の東京訪問を歓迎した。トランプ大統領は、これらの招待を受け入れた。

北朝鮮のテロ問題、チャイナの侵略問題に対して、日米間の合意が取れたことは、安全保障上非常に好ましいことです。

これは、チャイナの反応が過敏であることからも明らかでしょう。

www.yomiuri.co.jp

日本は、日米安保条約に縛られ、憲法の問題もあり、暴力で責められた場合に、自力で国を守ることができません。そのため、軍による領空侵犯や、領海侵犯を武装漁民(つまりは、テロリストか、民間人の皮を被った兵隊)に行われている現在において、米国の力がなくては、無防備に蹂躙されるだけです。

この状態を打開できるようになるまでは、アメリカとの関係を良好に保つことが重要です。

そう言った意味で、今回安倍首相とトランプ大統領が友好関係を築いた、と言うことは喜ばしいことでしょう。

しかし、蜜月のようであったオバマ・習近平も、2015年には反転しています。

日本も然るべき政策を考え、トランプ大統領のアメリカに盲従することなく、あくまでも対等に近い関係で、双方の平和・安全と経済的利益を生み出していけると、それこそが良い関係ではないでしょうか。